平成18年9月1日 北國新聞
『町家再現』の記事が掲載されました
加賀市・大聖寺の聖北団地
加賀市大聖寺新川町の聖北団地で、同市が進める市営住宅の建て替えの弟1期工事分がほぼ完成した。住宅は赤瓦の屋根、板張りの外壁、袖壁など藩政期から昭和にかけての大聖寺の町家や民家を再現した9棟18戸で、電柱は敷地周囲に配し、街灯も昭和20年〜30年代風のスタイルに統一するなど昔懐かしい住宅地の雰囲気を醸し出している。建て替えを完了する3年後には、30棟近くが建ち並ぶ予定で、歴史と文化が息づく城下町大聖寺と調和した新しい町並み景観が創出される。
いづれも屋根はかつて地元の特産だった赤瓦で統一し、外壁は棟によって焼き杉桟ざらし、白木の2種類の板張りを施したほか、軒裏の2重せがい、袖壁平入りなど大聖寺の町家の特徴的な工法を再現した。
丈夫で長持するよう、地元産材をふんだんに使用した。古風な外観とは打って変わり、内部はオール電化、ケーブルテレビ対応となっている。
新築住宅が並ぶ一角は電柱を敷地周囲に配したことによって無電柱化され、赤瓦を砕いた建材で赤土の路地も再現した。街灯も丸い傘に裸電球のスタイルで、さながら大ヒットした映画「ALWAYS 三丁目の夕日」の舞台のような雰囲気に作り出しでいる。
全国でも町家風の公営住宅を数十棟レベルで集約するのは珍しいとされ、加賀市では「町並み景観の整備とともに、工事を通して伝統的な町家工法の継承にもつながればうれしい」と期待している。