平成17年3月10日 北國新聞に掲載されました

 野々市町の旧北国街道沿いに位置し、半世紀に築造された瀬尾家住宅が、格子や大きな梁など当時の面影をそのまま残して前面改修された。老朽化に伴い一事は取り壊しも検討された旧家が居住性を高めて再生され、これからも街道の歴史を伝えていくことになる。

 瀬尾家は代々農業を営み、家は寛政年間(1789〜1801)に建てられたとされる。建築面積は約455平方メートル(138坪)に上り、母屋のほか米蔵、道具蔵を供える。一方で、老朽化が進み、旧家の特徴である居間「オエ」は採光性に乏しく日中でも電気をつけなければならないほど現代の暮らしに合わない空間もあり、全面改修することになった。
  
 改修を手掛けた加賀市大聖寺南町、設計士瀬戸達さんは住環境を高めるため、煙出しの窓を大きく広げ、ガラス瓦も採用するなどして採光性を高めた。
 
 一方で、通り沿いの格子や母屋の屋台骨となる梁や太い柱はそのまま生かし、柱などには木の風合いが自然に見えるよう色が黒から茶に変化する「古色塗り」を施した。また老朽化が進んでいた「たたき」と呼ばれる土間も再生した。

 旧北国街道には国指定文化財の喜多家住宅などが残る。瀬尾さんは「面影を残して住みやすくなったのがうれしい」と話し、瀬戸さんは「今後百年は持つ」と太鼓判を押している。
野々市町の旧家・瀬尾家改修 旧北国街道沿い、面影後世に