平成16年1月9日 北国新聞朝刊に掲載されました。
NPO法人の一員として歴史的建物や街並みの保護に取り組んでいる加賀市内の男性が、古民家から出る廃材や資材を保管、提供する施設「古材バンク」を開設した。同市内には築百年を超す住宅も多いが、修繕しようとしても、風情を損なわないような資材を手に入れるのは難しいのが実情である。建物の廃材には使えるものも多く、有効活用していく考えだ。
古材バンクを設けたのは建築設計事務所を経営する瀬戸達さん(56)=加賀市大聖寺南町=。瀬戸さんは本業のかたわら、NPO法人「歴町センター大聖寺」のメンバーとして、伝統的な景観や文化的建築物の保存活動に取り組む中で、古材を蓄えておく施設の必要性を感じていた。
バンクは同市内大聖寺畑町にある空き倉庫を活用した。鉄骨二階建てで、広さは約450u。すでに昨年夏に加賀市直下町で解体された住宅から回収した柱や床板、ふすま、ガラス戸などが収められている。
古材には修理に使うだけではなく、洋風建築の内装に和風の味わいを加えるなどの活用も期待しているという。
古材バンクの運営を任されている長男の高志さん(25)は、「古い建物を必要としなくなった人がいる一方で、必要としている人もいる。双方の要望を結びつけ、資源を有効に使っていきたい」と話している。
歴史ある建造物再生へ 「古材バンク」が仲介