授業/酒井式描画指導法/小学校3年/図工/制作者 宮崎昌美

「どんぐりと山猫」追試

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指導の全体の流れ

1.物語を聞く。〔15分〕
2.画用紙に山猫の体の色をぬる。〔30分〕
3.山猫の顔を作る。〔45分×2〕
@ 顔の輪郭を手でちぎる。
A 耳を作る。(手でちぎる。)
B 目を作る。(目玉はまだ貼り付けない。)
C 鼻,口,ひげなどを作る。
D 顔の部品を置いてみて,並び替える。
E 顔の部品を貼る。(目玉も貼る。)
4.体を手でちぎる。〔10分〕
5.腕,手の部分を手でちぎる。爪も作る。〔35分〕
6.足の部分を手でちぎる。爪も作る。〔30分〕
7.体を組み合わせて貼る。〔30分〕
8.羽織を作り、体に貼る。〔15分〕
9.台紙を選ぶ。〔10分〕
10.どんぐりを10個ほど作る。〔35分〕
11.どんぐりを並べる。〔15分〕
12.台紙に文字(山猫のせりふ)を書く。〔45分〕
13.台紙に山猫を貼る。〔15分〕
14.台紙にどんぐりを置き,並び替え,貼る。〔20分〕

指導のポイント

2について 8つ切り画用紙にぬる。ぬりおわったあと,乾いた後、4等分しておく。
山猫らしい色を考えさせたほうがよい。私の指導したクラスに,パステルカラー調の色にしたいといった子が2・3人いた。
3について @ 大きくなり過ぎないように。8つ切り画用紙の4分の1の大きさ。
鉛筆で描いてから切らないこと。
かたつむりの線のちぎり方・・親指と人差し指で画用紙を挟んで5mmずつちぎる
B 目玉は二つ。
C シンプルに。作りすぎないこと。
D 表情豊かな置き方ができた子,友達とは違う置き方ができた子には大いに褒める。
E 並べたところにしるしをつけ貼っていく。
のり付けの技術・・必ず下紙を敷いて,ふちにのりをしっかりとつける。ふちをしっかりとおさえる
4について 少し小さめに作るとよい。しかし、顔が小さくなった子には,大きめに作るように指示した。
5について 4ヶ所に分けて作る。1肩から肘 2肘から手首 3手のひら 4爪  1,2,3の長さを変えるとよい。
6について 4ヶ所に分けて作る。1腿から膝 2膝から足首 3足の甲 4爪   1,2,3の長さを変えるとよい。
7について 手と足は同時に机上に出させないほうがよい。まず,手だけを出して置き方を考えさせ,
次に足だけを出して考えさせる。
手も足も,「左右同じような格好にならないように」と指示する。何も言わないでいると,
左右対称にしてしまいがち。
8について 千代紙で,袖なしの羽織のようなものを作る。羽織の紐もつけると雰囲気が出る。
9について 色画用紙は,できるだけ沢山用意しておく。茶系統だけでも2・3種類用意できれば尚よい。
指示「山猫の体を置いてみて,自分が一番ピンとくる台紙を選びます。」
黒色の台紙は,ほとんどどんな山猫にもあったが,黒っぽい山猫の場合は選ばないほうが無難である。黒っぽい山猫で黒色の台紙を選んだ子どもがいたが,遠くから見ると山猫が目立たなかった。遠くから見せてやるとよい。
10について @ どんぐりの体を作る。
A どんぐりの手,足を作って貼りつける。
B 目や鼻,口などをサインペンで描く。
指示「『やんちゃな,おとなしい,おこりんぼの,元気な』などの言葉が上につくどんぐりにします。」
指示「大きさや形も一つ一つ変えましょう。」
11について @ 指示「同じ間隔にしないで、かたまったところや,散らばっているところを工夫しましょう。」
A 指示「色々な方向を向くように,目や手足のつけ方を工夫しましょう。」
B 指示「中には,重なっているどんぐりも作ってごらん。」
12について @ 鉛筆で下書きをしっかりと書く。教師が点検し,誤字脱字がないかを見る。
A 文字と文字は隙間を空けずに。行間は空ける。
B 漢字は大きく,ひらがなは小さく書く。
C 白色絵の具をたっぷり混ぜ、どろどろ状態で書く。
13・14について いろいろと並び替えてみて,これでよいというところに貼る。水平・垂直の排除に気をつける。

指導を終えての反省
2について 色はたっぷりと作っておく。パレットの大部屋3つ分くらいは最初に作っておく。混色してある場合、途中で作ると色が変わってしまうこともあった。実践は3年生だったので色が変わってしまった子が3人いた。3人は,はじめから塗り直しをした。
3について @とA かたつむりの線のちぎり方(親指と人差し指で画用紙を挟んで5mmずつちぎる)を練習したほうがよい。3年生は,私が思っていた以上にちぎるのが苦手な子が多かった。1箇所を持ったまま3cmくらいちぎってしまう。そうすると子ども自身思った形にならなくて,失敗したという気持ちになってしまう。「親指と人差し指で画用紙を挟んで5mmずつちぎる」ことを徹底したほうが子どものためである。そのためにも練習したほうがよい。
A 顔がとても小さくなった子には耳を大きくさせた。失敗が生かされた。顔の小ささも気にしなくてよくなり「失敗」ではなくなった。
D 顔の表情を変えるというのは子どもには,思い切った冒険であることが分かった。「変な顔だ」と言っていろいろな置き方を楽しめない子もいた。「山猫が笑っている(怒っている、威張っている)みたい」などと具体的な褒め言葉をかけ置き方が楽しめるようにする手立てが必要である。
E のり付けの技術は一人一人確認が必要。1個貼れたら持ってこさせきちんと貼れているか,確認したほうがよい。特に低学年は真中にのりをつけてしまう子が多い。よく見ると,端がはがれている。しつこいくらいに徹底させたほうがよい。後で台紙に貼るときにも生かされるから。下紙の上ではなくて作品の上でのり付けをする子がいる。机間巡視ししつこいくらいに徹底させるほうがよい。
4について 顔全体が小さくなった子には体は大きく作るように指示したのがよかった。
5と6について 作業がやや機械的になってしまった。「今は手(足)のどこを作っているのかを考えて作りなさい。」と指示すればよかった。機械的な作業になったので,3つの長さを変えられない子のほうが多かった。これは,私の責任。
つめがとても小さくなってしまう子がいた。本物の猫を思い浮かべて小さくしたようだが台紙に貼ると目立たない。爪がきちんと目立つ山猫のほうが迫力がある。「爪は目立つくらい大きくします。」と事前に指示すればよかった。
7について この作品の一番大事なポイントだと言うことがあとから分かった。私自身が酒井セミナーであれこれと迷ったほどは子どもは並べ方を変えてはみない。真っ直ぐ立っているポーズにしてしまいがち。友達とは違う置き方ができた子、ダイナミックな置き方ができた子には大いに褒める。教師がどれだけ褒められるかで作品の良し悪しまで決まってしまうのではないかと思える。私自身は褒めかたが足りなかったので,作品に大胆さと多様さが欠けた。
8について 子どもの中には,Tシャツのような形を作り,着せてしまうこともあった。また体より小さくなり,体がはみ出てしまうのもあった。逆に,体が隠れてしまうくらいの大きい羽織を作った子どももいた。羽織の大きさについて「山猫の胴体が見えるくらいの大きさ」と事前に指示をしたほうがよかった。
10について 大きさが同じになってしまった子がいた。「大き目も作ろうね。小さ目も作ろう。」などと細やかな個別指導が大切。
11について かたまっているところ,散らばっているところを作るのが3年生には難しかった。教師がやって見せる必要あり。
12について 3年生には長文は難しいので,短いせりふを3つ用意しその中から選ばせた。せりふの見本は,一人に1枚ずつ印刷して渡した。子どもにとっては,『大きめの文字』と指示したほうが良い。何も指示せずにいるとふだんノートに書くくらいの小ささになってしまう。その大きさだと,あとで絵の具でなぞるときが大変。文字を3つ書いたら持ってこさせ,大きさや文字間隔などを見てやると良い
13と14について 水平・垂直の排除は教師がやって見せる。のり付けの技術も個別指導が必要。

※ 本実践は、「楽しい絵画教室13 酒井式描画法の基礎基本:ここでこう教える」(酒井臣吾編集長 明治図
書)を追試した。
   また、1999年11月28日に福井で行われた「酒井セミナー 楽しい絵画教室」での講習も参考にした。

※TOSS石川ML推薦、TOSS加賀推薦

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